■ 09. 和式トイレでは
腹直筋を縦に保つ機会がありました
ここで、少し視点を変えてみます。
以前の日本では、
和式トイレで深くしゃがむ姿勢が、
日常生活の中にありました。
現在は、学校でも洋式トイレをよく見かけ、
和式を見かける機会が一気に減ったと、
お客さまから伺うことがあります。
近いうちに、
和式トイレを使ったことがない時代に到達しそうということですね。
リラックスして用をたせる洋式トイレには、
体重を預けられる座面があります。
一方、和式トイレには座面がないため、
深くしゃがんだ状態でも、
自分の足と体幹で体を支える必要があります。
和式トイレでは深くしゃがむために、
- 足首、膝、股関節を曲げる
- 骨盤の位置を調整する
- 足裏で重心を受け止める
- 前後へ倒れないように体幹で支える
といった働きが必要です。
しかし排出するときは、
上半身を前へ傾けることで、
直腸から肛門へ向かう角度が緩やかになるようです。
和式トイレでは、
その姿勢を自然に取りやすかったと考えられます。
そしてリルークで注目しているのが、
恥骨から鳩尾付近まで続く腹直筋の位置です。
和式トイレでは座面に骨盤を預けられないため、
深くしゃがみながらも、
恥骨から鳩尾までのお腹を縦方向に保つ必要があります。
見た目では、
背中を丸めた猫背のような姿勢になります。
しかし、背中が丸くなることと、
お腹まで強く折れ曲がることは同じではありません。
和式トイレでは、
背中を丸めながら、お腹の前面は縦に保つ
という体の使い方が含まれていたのではないかと、
リルークでは考えています。
上半身を前へ傾けながら腹部を縦に保つことで、
腹直筋を含む体幹前面には、
姿勢を支えながら腹圧を受け止める働きが求められます。
また、お腹を強く折り畳まず、
恥骨から鳩尾までの長さを保つことで、
腹部の中にも動く余裕が残り、
排出時の力を使いやすかった可能性があるのではないかと、
お腹のケアを行う中で感じています。
もちろん、
和式トイレでは腸がねじれない
和式トイレなら排出しやすくなる
と断定するものではありません。
排出には、食事、水分、呼吸、骨盤底筋など、
さまざまな要素が関わります。
それでも和式トイレには、
- 腹直筋を縦方向に保つ
- 背中を丸めながら腹圧をかける
- 腹部を強く折り畳まずに排出する
- 足元から胸郭までを協力させる
という体の使い方が含まれていた可能性があります。
現在では和式トイレが減り、
座面に体重を預けず、
深くしゃがんだ状態で腹部を縦に保つ機会も少なくなりました。
和式トイレが減ったことで腹直筋が使われなくなった、
と単純には断定できません。
ただ、以前の日常生活には、
腹直筋を短く縮めるだけではなく、
縦方向の長さと張力を保ちながら全身を支える経験が
含まれていたのではないかと考えています。
■ 10. これは現在も
観察を続けている臨床上の仮説です
ここまで書いた内容は、
腹直筋には、必ずこの役割がある
と断定するものではありません。
一般的な解剖学や運動学では、
腹直筋が体幹を前へ曲げる働きに関わることは広く知られています。
一方で、姿勢の保ち方や、
ほかの体幹筋との協調の仕方は、
生活様式の変化だけでなく、
一人ひとりの体の状態や動作のクセによっても異なります。
リルークで考えている「前面の基準線」という見方も、
施術や計測の中で生まれた観察上の仮説です。
今後も会話や動作、計測などを通して観察を重ね、
体の前面の張力と全身の支え方が、
どのように関係しているのかを見ていきたいと考えています。
■ 11. 腹筋は鍛える前に
自然に働けることが大切
腹筋というと、
もっと鍛えなければ
と考える方も多いと思います。
もちろん、筋力が必要な場面もあります。
しかし、すでに腰や背中を固めながら立っている状態で、
さらに腹筋を強く縮めることが、
その方に合っているとは限りません。
リルークでは、
腹筋は鍛えるだけでなく、
まず自然に働ける状態を作ることも大切ではないかと考えています。
前面と背面。
呼吸と骨盤。
体幹と足元。
それぞれが支え合い、
必要なときに自然と力が出る。
和式トイレの深いしゃがみ姿勢に含まれていたのも、
腹筋だけを強く縮める動きではなく、
全身で体を支える使い方だったのかもしれません。
これからも、
施術と計測の中で観察を続けていきます。
■ 12. 広島市中区|
体を支える順番から考える筋膜ケア
リルークでは、
腹筋だけを鍛えたり、
一つの筋肉だけを強く刺激したりすることを目的にはしていません。
- どこで体を支えているのか
- どこで動きを止めているのか
- どこで力が逃げているのか
- どこが代わりに頑張っているのか
を確認しながら、全身のつながりを見ていきます。
「お腹に力を入れて」と言われても、
感覚が分からない。
腹筋を鍛えているのに、
立っていると腰や背中が疲れる。
姿勢を良くしようとすると、
かえって体が苦しくなる。
そのような方は、
筋力だけではなく、
体を支える順番や前後のバランスを見直すことも、
一つの考え方です。
お腹を強く固めなくても立ちやすくなると、
長時間立つ仕事や家事の中で、
腰や肩へ入る力の使い方が変わることもあります。
※本記事は一般的な体の使い方や身体感覚について整理したものです。医療行為や治療効果を示すものではありません。排便や腹部症状、強い痛み、しびれ、急な体調変化がある場合は医療機関へご相談ください。
■ 広島市中区|体を支える順番から考える筋膜ケア
➔【筋膜リリースの考え方】を見る

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